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達人 中島英雄さん:笑うことは、脳を活性化させ、人体により良い効果を生み出します。「笑い」は「健康」の源なのです。
愉快なことや楽しいことで大笑いをした後、何となく清々しい気分となり、今までモヤモヤしていたものがすっきりと晴れて、頭も身体もスーッと軽くなった…という経験は、どなたでもお持ちだと思います。そうした「笑い」と「健康」とのメカニズムについて、噺家としても活躍中の脳神経外科医・中島英雄さんに伺いました。
「笑い」のルーツと役割について
 人はなぜ、笑うのでしょうか。また、いつ頃から笑うようになったのでしょうか。
 それは、人の祖先がまだ四足歩行の動物だった頃にさかのぼります。
 「食べ物を口にくわえたときに、“あっ、これは有害なものだ”と感じ取ったら、“カーッ”と吐き出します。その“カーッ”と吐き出すときの表情や格好が、笑いの起源であるという説があります」と、中島先生は言います。
 私たちが大笑いをするときには、必ず、口角を後ろに引き、「ハハハ」「ヒヒヒ」という声を発しています。
 これにも、きちんとした根拠があり、ものを吐き出すためには、肺から大量の空気を吐くことになります。そのためには、なるべく気道をまっすぐに、声門を大きく開くことになりますが、このときには「ハーッ」という音が一番でやすく、笑い声は「ハ行」になるというわけです。
 また、「笑い」を呼び起こす心理的な要因について、中島先生は、二足歩行をはじめた人類と、マンモスとの関係を例に説明します。
 「我々の祖先が、一人で原野を歩いていて、マンモスに襲われときには、必死になって逃げました。そして、岩陰などに隠れて何とかマンモスをやり過ごしたときに、“ああ、よかった、助かった“と安堵します。危険を回避し、自分の命が助かったという喜びが、笑顔となり、このとき初めて笑うのです」。
 マンモスに襲われたとき、ヒトの脳の中では、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンと呼ばれるストレス対抗ホルモンが大量に放出され、想定外の出来事による極度の緊張状態によって全身の血管が収縮し、いわば「戦闘モード」になります。
 その反面、ほっとして、「ああ、よかった」と、笑ったときには、全身の血管は拡張し、ストレスから開放されるのです。これが「リッラクスモード」です。
 緊張状態が長く続くと、身体に支障を来たすため、脳の中では、正常な機能を取り戻すために、常に活性化される必要が生じます。
 「笑う」ことは、そのための重要な行為であり、「戦闘モード」から「リッラクスモード」へと切り替えるスイッチの役目を果たしているのです。
理想的な心身のバランス状態
「笑い」のメカニズム
「笑い」がもたらす効用とは
 中島先生は、子どもの頃から落語に興味をもち、小学生で10代目桂 文治師に入門、現在も「桂 前治」の名で活躍中の噺家です。
 理事長を務める中央群馬脳神経外科病院では、開設以来、月1回の「病院寄席」を開催し、患者さんの脳のリハビリテーションのために、「笑い」を応用しています。
 また、落語を聴く前と、聴き終わった後の脳や身体の変化を調べることにより、「笑い」がもたらすさまざまな効果についても研究しています。
 その結果、「笑い」には4つの効果があることがわかってきました。
 その一つが「運動効果」です。
 笑うことは、息を吸ったり吐いたりという状態を続けることであり、吸うときには横隔膜を下げ、肋間筋という筋肉を収縮させて、胸部を急激に広げます。また、取り込まれた空気を吐き出すために、胸部を急激に縮小します。
 この運動を繰り返すわけですから、「笑い」には、かなりの運動効果が期待されます。
「ちなみに、20秒笑えば、3〜5分間運動したのと同じ効果が得られるといわれています」と、中島先生。「病院寄席」での調査でも、運動効果によって「笑うと血糖値が下がる」とのデータが得られています。(図1)
図1:笑うと血糖値が下がる
図2:左右大脳半球の血流量増減率  二つ目の効果は、「免疫効果」です。
 これは、唾液の状態を調べることによって、立証されています。
 唾液は、1日に1.0〜1.5リットルほど生産され、その中に含まれる免疫グリブロンという免疫タンパクが、外からの雑菌の侵入を防いで、口の中から消化器系までの抵抗力を維持しています。
 緊張すると、口の中がカラカラに乾き、唾液の出にくい状態になることは、多くの人が経験していることでしょう。こうなると、免疫力が低下し、私たちの身体は感染に弱くなります。
 逆に、「笑い」によってリラックスした状態になると、唾液の分泌量は増え、免疫力もアップするといわけです。
 また、皮膚科の領域でも、笑うことによって、アトピー性皮膚炎が改善された例を報告されており、このことも、注目すべき「笑い」の効用といえます。
「笑い」のもつ効用の三つ目は、「脳内麻薬効果」。これは、脳の血流量と密接な関係をもっています。リラックスをすると、脳の血流量が増えるからです。
 中島先生の「病院寄席」でも、40人に落語を聴いてもらい、その後で脳の血流量を調べた結果、平均で8.2%も血流量が増えたことがわかりました。
 ちなみに、「右脳」と「左脳」では、どちらの血流量が増えたのでしょうか。調査の結果は、「左脳」が4.7%、「右脳」が3.4%でした。(図2)
「落語は、登場人物がいて、ストーリーを展開するので、いわゆるアナログ的な働きを司る左脳で組立てていきます。しかし、右脳をまったく使っていないというわけではなく、その差はわずかです」と、中島先生は分析しています。
 そして、最後が「コミュニケーション効果」です。
 これは、医学的な根拠に頼らずとも理解できると思います。
 常に笑顔を絶やさない人は、難しい顔をしている人よりも、ずっと魅力的で、周囲との関係も円滑に保てるはずです。
日常生活に、もっと「笑い」を
 病気になりづらい人、病気が早く治る人の特長としては、「笑い」を上手に取り入れながら、「戦闘モード」と「リラックスモード」とのバランスを保つことにより、常に安全・安心という状態に身を置いています。
「笑い」は、人類の長い歴史の中で、自らの生命を守るために獲得した機能の一つなのかもしれません。
 町中の「寄席」に行って、はばかることなく大笑いをしてみる、「落語」や「ジョーク集」をまとめた本を読んで楽しむなど、日常生活の中で、積極的に「笑い」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
「笑い」は「健康」の源なのです。
Column
桂前治の小咄(ブラックユーモア編)  
 
その1:母と子の会話
子ども ママ、たいへんだよ。
パパがトイレで倒れちゃったよ。
ママ まあ、たいへん。
水で流しちゃいましょう。
その2:クローゼットにて
なにをグズグズしているんだよ。
大事なパーティに遅れるじゃないか。
だって、着ていくドレスが、決まらないのよ。
しょうがないな。待ってろ、オレが選んでやる。
そうして。
(クローゼットを開けて)
こんなにあるじゃないか。
え〜と、赤のドレスだろ、グリーンのドレス。
黒のドレスに、花柄と…。
みんないいじゃないか。
こんなにあるじゃないか。
やあ、ジョージ、しばらくだったな。
次は…。
その3:病院にて
看護士 先生、すみません。
ここに、先生のサインをいただきたいですが。
医師 なんだ、これ。
看護士 診断書です。
医師 ああ、そうか、そうか。
看護士 死亡診断書なんです。
医師 で、どこにサインがほしいの。
看護士 ここ、この欄です。
医師 ここって、君、死亡原因の欄じゃないか。
看護士 ええ、ですから、先生のお名前を。
※処方箋:くれぐれも使用するTPOにご注意ください。

脳と「笑い」の専門医

中島英雄

●なかじまひでお

医療法人 中央群馬脳神経外科病院理事長、医学博士。
日本脳神経外科学会評議員および認定医。
1944年、東京都生まれ。群馬大学医学部卒業。
1988年に、中央群馬脳神経外科病院を開設。
落語家の10代目桂 文治門下、初代「桂 前治」として数多くの高座でも活躍中。病院開設時から月1回“病院寄席”を開いている。
2005年より、「笑い療法士」認定評価委員長を務める。
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