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達人 鳥羽亜弓さん
浴衣で
過ごす
愉しみ
「浴衣は家族のコミュニケーションツール」
「これも浴衣なんです。ちょっとしたお出かけなんかにいいんですよ」。そう話す鳥羽さんが着ているのは、麻混の綿の浴衣。一見着物のような、シンプルで上品な柄が、しっとりとした和の風情を感じさせます。
「浴衣というと、お祭りで見かけるような大胆な柄のものをイメージされるかもしれませんが、最近ではシックで着る場所を選ばないものも結構あるんですよ。ショッピングや食事とか、着物姿で気軽に出かける機会も増えると思います」。
 出産をきっかけに始まったという鳥羽さんの着物暮らし。専業主婦の間は出勤にも使える服を考えなくてよいし、1日中なにを着ていても自由、だから子育てしながら和服生活も楽しんでしまおう!と思ったのだそうです。
「祖母や母が普段から着物を着ていたので、すんなり始められましたね。あと、いま住んでいる信州があまりに寒くて、毛糸の腰巻きや長襦袢下など、着物ならではの防寒をしたくて。着物はかなり下に着込んでも様になってしまいますから」。
 ご家族も浴衣や着物への関心は高いそうです。7歳の娘さんはお母さんと着物でお出かけをしたり、空手を習っている息子さんは純和風なものに興味津々。ご主人は、夜に針仕事をしている奥さんとのひとときがお気に入りだとか。晩酌をしているご主人の横で、子どもの浴衣を黙々と縫いながら、ときおりご主人の言葉にあいづちをうつといった夫婦の時間が、ご主人にはとても心地よいそうです。
「男の人って、着物姿の奥さんはまんざらでもないみたいですよ」といって笑う鳥羽さん。晩酌時にはギャルソンエプロンをつけ、お刺身や冷や奴、枝豆などをガラスの器に盛って、居酒屋気分を演出。焼き鳥が一番の人気メニューです。
「夏の夜、サッカーの試合とかを観ているところに、私がビールやおつまみをだして、小洒落た酒器に入れた冷酒を娘にお盆で持っていかせると、主人は『お金はないけど、お殿さまになったようで実に気分がいい』って笑っています。平凡な、いつもの週末のリビングなんですけど、みんなとても楽しそうで、私はそんな家族の笑顔を見て、またがんばろうって思うんです」。
 浴衣は日本の夏を楽しむ家族のコミュニケーションにも一役買っています。
「着こなしや選ぶときのコツ」
 家族で浴衣を楽しむなら、子どもの着付けはマスターしておきたいところ。この際のポイントはひとつ、下準備をしておくことです。
「子どもの着物はワンタッチ式で、着付けというよりは着せるだけなんです。実は、お母さんが頑張るのは準備の方。洋服だと大きければ袖口や裾を折り曲げますね、浴衣は、肩・腰の部分で調節します。これを?肩あげ・腰あげをする?といいます」。
 お祭りまでにこの作業を済ませておけば、もう着付けたも同然という訳です。
「作業はとても簡単。子どもの腕の長さと身長に合わせて、これぐらいといった感じでつまんで縫います。和裁の縫い方といった知識や技は必要ありません」。
 この先、成長に合わせてまた解いて縫い直すことを考え、気負わずおおらかに作ります。縫い方も、力のかかるところだけしっかり、そうでないところはざっくり、隠れるところはどんな縫い方でもOK。浴衣選びのコツは、少し大きめのものを選ぶこと。
「肩あげ・腰あげのやり方を覚えれば、成長期もずっと着せることができます。色柄は、洋服を選んであげるのと同じように自分の感性で選べばいいと思いますよ」。
 着付けの補正器具などは、身近にあるものでいくらでも代用できます。子どもが使っているタオル、100円ショップで売られている薄いプラスチックのシートを切って作った帯板など。ちょっとした工夫で、お金をかけずとも十分に着こなせます。
 浴衣に食べこぼしなどがついてしまった場合、とっておきの洗濯方法があるそうです。
「浴衣は大きいので、脱いでしまうと汚れた位置が分かりづらくなってしまうことがあります。夏に限りますが、浴衣をはおったままお風呂に入り、自分ごと洗ってしまうのがおすすめなんですよ。汚れを落として、風呂桶で仕上げの濯ぎをします」。
 洗い終わったら糊を多めにつけてパリッとさせます。洗う際の色落ちが心配な方は、一度に全部洗わず裾の下の方だけ洗ってみて、色の落ち具合を確認してからとりかかるのもひとつの方法です。
「浴衣のたたみ方というのがありますが、折り目に沿ってなんとなくたたんでおいて全然問題ありません。シワができていても、来年アイロンをかければOK」。
 キレイに整えたあとは、木綿の洋服などと同じように保管しましょう。
「もっと気楽に楽しみましょう」
 風情ある物腰の浴衣姿の女性は、とても魅力的にみえます。そこで、浴衣を着ているときに少し意識したいのが、その所作。鳥羽さんが最近、気になっているのは女性の歩き方だそうです。
「浴衣姿のときでも、ジーンズで颯爽と歩く感じの女の人が増えたなと思いますね。そうすると、おしりが目立って腰太な印象を与えるんです。浴衣のときは、小股でちょっと内股に歩くと、腰が細いすっきりとした雰囲気になりますよ」。
 また食事や手洗いで、腕を伸ばすしぐさも少なくありません。そんなときは、袖下の袋状の部分(袂)を帯に引っかけるように入れると便利です。
「子どもの食べこぼしなどは諦めるしかないですね。子どもになにか付けられそうになったら、母親はよけるのが一番。でも浴衣は大きくて洗うのが大変なだけで、洗えない訳じゃないですから」。浴衣だからといって神経質にならないことです。
 普段から浴衣や着物を日常着としている鳥羽さんは、ご家族以外の方とも着物を通じた交流を楽しんでいます。
「ひな祭りのホームパーティで、知人夫妻の奥さんに着物を着せてあげたことがあります。奥さんが着物に興味をもつことを、ご主人方はなかなか好意的にとられるようです」。やはり日本人は、着物になにか感じるものがあるんですね。
 日本の伝統的な衣服である浴衣や着物は、敷居が高いと思われがちですが、ちょっとした工夫や慣れで、より身近な存在になります。
「「私は暮らしの中に着物があったので、和服も洋服も同じ着る物と感じます。洋服のように、もっと気軽に楽しんでもらえたらいいですね」という鳥羽さん。
 この夏、まずはお祭りから始めて、普段着としての浴衣を家族で楽しんでみてはいかがでしょうか。
鳥羽亜弓 とばあゆみ
1969年生まれ。
着物で暮らす祖母、母の影響により、着物で生活することになんの疑問も抱かず育つ。建築図面屋から、育児のため専業主婦になったことをきっかけに着物暮らしがスタート。信州で着物とともに楽しむ日々を紹介したホームページが反響をよび、現在では執筆活動のほか、カジュアル着物制作などを手がける。著書に「新版・浴衣の次に着るきもの」など。
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